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2012年8月29日水曜日

こどもサマーキャンプ日記(6)

★火の周りで、踊れや歌えや、ドンジャラホイ
山村道場も日が暮れて、薄雲の向こうにまんまるの月が上がってきた頃、地上では炎を上げます。
広々とした草地の真ん中に、大きな火を焚いても大丈夫なようにしてあるのです。

この最大イベントの担当は、もちろんマリオさんであります。
そして、彼がつないでくれた「こめらの森」代表の大西さんと、ボランティアの大学生のお兄ちゃんがまた、やってきてくれました。







大西 さんが再び、火をおこしてくれて、子供たちが組み上げられた薪に点火します。








マリオさん、子供たちに呼びかけます。
「さぁ、やるぞ。自分の好きなものを順番に空から落とすぞ。『なぁにが、なぁにが、落ちたァ?』。そら、受け取れ、逃げろ」

車を落とす奴、チョコレートを落とす奴、ゲーム機を落とす奴、雷を落とす奴……、キャッチしたり転げまわって避けたりして、ほんに草地ならではのパフォーマンス。


★子どもの歌に、オヤジたちはただ涙
旅団長が仮設に迎えに行った時、バスの陰で子供たちは、ラジカセに合わせて踊っていました。
「そうか、これだったか」。旅団長は火に照らされて、歌い踊る姿をみながら思っていたのであります。
子供たちはキャンプファイアーに向けて、♪マル・マル・モリ・モリ を練習していたのでした。
大西さんと学生さんもすっかりやんちゃ坊主に戻って、踊りまくります。



ディズニーの歌踊り、宮崎駿ご一家アニメの歌、と次々に繰り出され、んだんだなにがあっても、♪歩こ、歩こ、あたしは元気、だぁ。
何が出てきても大丈夫のミュージシャン・みいきしゃんが、ピアニカで伴奏を付けていくのであります。





お兄ちゃんたちの歌踊りに、ソウヤが「ぼくも歌う」と独唱を志願。
曲は「野に咲く花のように」。
なんだ、これは。あんまりぴったりきて、オヤジどもただただ涙しておったのです。
気になって調べたら、こんな歌詞でありました。
(*子供の名前はすべて仮名です)

♪野に咲く花のように風に吹かれて
 野に咲く花のように人を爽やかにして
   そんな風にぼく達も
   いきてゆけたらすばらしい
   時には暗い人生も 
   トンネルぬければ夏の海
   そんな時こそ野の花の
   けなげな心を知るのです




かくして、芸なしウシトラ旅団は、ソメビンせめてのボーイスカウト「正調・鬼のパンツ」。
子供たちはあっけにとられていたふうでありましたが、長い付き合いの旅団長もはじめてのソメビンによる鬼のパンツ。
なんだか、日本舞踊的、名取の美しい踊りでありました。



「さぁ、定番。『今日の日はさようなら』を歌おう」と、ミヤシタ車両長の声がかかります。

「え~、知らないよ」
「いいんだ。覚えて帰れよ~」




♪い~つまでも たえることなく、友だちでいよう~

同じような時代を生きてきた大人どもは、少し小さくなった炎を囲んで自然に手をつなぎ始めました。
子供たちもならいます。
苦しい時、辛い時こそ、手をつなげ。鉄則であります。

★星とホタルと動物の声と
この夜、子供たちは立派なロッジに寝袋を持ち込んで寝ました。
夕刻から、パトカーが周囲を巡回し、クマへの警戒を呼びかけていたのです。
火を消してぼんやり空を見ていたら、また今夜も遅くまで遊ぼうという伝の男の子、3人が傍にやってきます。
いつの間にか、雲が流れ、空に星が輝いていました。
「あれが北斗七星。で、あれが北極星。妙見様。で、もすこし東にあるのが、ウシトラの星!」
あいかわらずいいかげんでありますが、少なくとも、あの子たちは北極星を見つける方法だけは覚えてくれた(かな?)。

スタッフの大人たちは、それなりの時間まで、ホタルがやってくるテントサイトで、ここの自然を語り、空を見上げて宇宙を語り、そして、鹿の声や夜鳴く鳥の声を聞きつつ、仮設で育つ子供たちのこれからについて語り合いました。
長い時間のタームでみる「総括会議」も、われわれには必要だと思わされた時間でした。

★たった3日間のキャンプだったけど
夜が明ければ、すぐにメシに、お絵かきなどの反省会(?)に、テントの片付け。
子供たちは
「なんか手伝うことありますか?」
お星様3人組がやってきました。えらい、えらい!
他の子達も、率先して自分のできることをやってくれます。



子供たちには
「お父さん、お母さんはいま大変な思いをしている。そのなかでも、一番に思っているのは君たちのことだ。だから、なるだけ自分のことは自分で。少しでも、手伝いができることがあれば、頑張ってやろうぜ」と言って来ました。
少しでも、そんなことを彼らが感じる糧になれば、と思いつつ、このキャンプはやって来ました。

無事に仮設に子供たちを送り届けて思うのは、仮設の人々と一緒に進むということのありかたでした。
キャンプの中で子供たちと仲良くなったことは、それぞれの親御さんともぐっと距離が縮まるということでした。
かえってそれで、もっと重い課題を背負うこともあります。
でもね、助けてくれる人たちはたくさんいる。

今度も、カネのない私たちのためにいっぱいお金を集めてくれた芝浦工大OBのみなさん、彼らと一緒に動いている明大や日大のみなさん。手伝いに来て下さった方もおられました。
みなみやま観光は見積のところから徹底的にリーズナブルにやれるようにプランを作り、子供たちの安全のために、キャンプを覗きに来ては配慮してくださいました。
お風呂の世話になった温泉宿、釣りや水遊び・魚の串打ちまで快くサービスしてくれた養鱒公園の方々、送り迎えのバス会社まで一番安いルートを探しだしてやってくれました。

そういう人々の意欲と心意気にキャンプは支えらました。
心から御礼を申し上げます。

キャンプの写真を第1集会所に張り出して、母や父に見てもらっていたら
「楽しかったらしくて、作文を書いているのに、用紙が全然足りなくなったんですよ」と、あるお母さんに言われました。
うれしいありがたい言葉でありました。



ともかくも、大きな事故なく、けが人なく、キャンプをやりきれたのがなによりの成果でした。
仮設の解散場所で、子供たちにコールをかけました。
「泉玉露の子供たち、グー!」
マリオにしつけられた通り、間髪をいれず、元気な声が響きました。
「いいね!」

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